アトリエとりむしさかな日記

北海道江別市にある、秋元さなえの美術アトリエ「とりむしさかな」です。レッスンや作品のことを書いていきます。 ◇江別市大麻東町13-52(大麻銀座商店街内)

「ランドマーク」のエッセイ(3)

〈ランド〉とは何なのか?

今回の展示は、「ランドへ」(2018年、個展、テンポラリースペース)、「ランドスケープ」(2020年、個展、テンポラリースペース)に続く3作目です。

そもそも〈ランド〉とは一体何なのでしょうか。
名付けてくれたのは、テンポラリースペース画廊主の中森敏夫さんです。
具体的な場所を指すならば、江別市にある実家近くを流れる石狩川の、向かい側の土地。
祖父が生まれた篠津地区、三日月湖や金色の麦畑を見つけた新篠津村、作品に使った麦藁を譲っていただいた八幡地区などに当たります。

最初に〈ランド〉を訪れたのは、石狩大橋を渡りドローイングを描く作品「橋を渡って」(2014年)がきっかけでした。
ただ大きな川を挟んでいるというだけで、行政区域が変わり、各々の暮らしが生まれ、愛着が沸く。
川の向こうから「全く別の場所へ来てしまった」という隔たりの感覚そのものが〈ランド〉なのかもしれません。
〈ランド〉が、親しみのある場所に変わる瞬間を、いつか見てみたい。
その思いから、シリーズとして、〈ランド〉を訪れる体験を重ねてきました。
シリーズは、おそらく今回で一旦終わりになると思います。

 

(アトリエとりむしさかな 秋元さなえ)