アトリエとりむしさかな日記

北海道江別市にある、秋元さなえの美術アトリエ「とりむしさかな」です。レッスンや作品のことを書いていきます。 ◇江別市大麻東町13-52(大麻銀座商店街内)

「サイアノタイプ」のエッセイ(5)

秋元さなえ 展 「サイアノタイプ」

会期3日目が終わりました。

たくさんの方にお越しいただいています。

みなさん、思い思いにゆっくり過ごしてくださるのが伝わり、私もほっとしています。

 

今回は、サイアノタイプ成果物について。

サイアノタイプ(日光写真)は、太陽などの紫外線によって感光される写真の技法です。

今回は、専用の感光液を、暗室で布に塗布して乾かし、テンポラリースペースに持ち込みました。

最初は黄色っぽい液体です。

この布を、窓にピン止めして張り付けて、太陽の光を取り込みます。

冬場だったので、3時間くらいかけました。

布の内側(窓に面した側)を剥がすと、影になった部分は感光されず、紫外線が通った部分は灰色〜青〜水色に着色されました。

紫外線の強さや、時間の長さによって、より濃い色が現れます。

また、写し取られた像は、反転します。

水で洗浄し、クエン酸溶液で汚れを落とし、オキシドールで定着して乾かすと、黄色の感光液が落ちて白抜きされ、青色の像が定着します。

仕組みとしては、こんな感じで作っています。

ちなみに、これは談話室の収蔵品棚の窓です。

 

このサイアノタイプは、2階の階段脇にある窓の成果物。

 

このサイアノタイプは、二階の展示室の窓の成果物。

 

そしてこのサイアノタイプは、一階の展示室の窓の成果物です。

 

サイアノタイプで写し取る行為によって、テンポラリースペースの光、時間、空気や熱気のようなものも、記録・保存したい。

そんな思いで、制作しました。

 

また、中森さんはご自分で『クソ意地』と表現していましたが、集う人たちのためにいつでも文化的な誘いへの"窓"を開けようとしていたなと、そんな思いも持っています。

 

今日来て下さった方が「まさに異化するようだ」と教えてくれましたが、サイアノタイプの窓を通して、テンポラリーの空間そのものも、改めてじっくり感じてもらえたら嬉しいです。

 

(とりむしさかな 秋元さなえ)