秋元さなえ 展 「サイアノタイプ」
会期3日目が終わりました。
たくさんの方にお越しいただいています。
みなさん、思い思いにゆっくり過ごしてくださるのが伝わり、私もほっとしています。
今回は、サイアノタイプ成果物について。
サイアノタイプ(日光写真)は、太陽などの紫外線によって感光される写真の技法です。
今回は、専用の感光液を、暗室で布に塗布して乾かし、テンポラリースペースに持ち込みました。
最初は黄色っぽい液体です。
この布を、窓にピン止めして張り付けて、太陽の光を取り込みます。
冬場だったので、3時間くらいかけました。
布の内側(窓に面した側)を剥がすと、影になった部分は感光されず、紫外線が通った部分は灰色〜青〜水色に着色されました。
紫外線の強さや、時間の長さによって、より濃い色が現れます。
また、写し取られた像は、反転します。
水で洗浄し、クエン酸溶液で汚れを落とし、オキシドールで定着して乾かすと、黄色の感光液が落ちて白抜きされ、青色の像が定着します。
仕組みとしては、こんな感じで作っています。
ちなみに、これは談話室の収蔵品棚の窓です。
このサイアノタイプは、2階の階段脇にある窓の成果物。
このサイアノタイプは、二階の展示室の窓の成果物。
そしてこのサイアノタイプは、一階の展示室の窓の成果物です。
サイアノタイプで写し取る行為によって、テンポラリースペースの光、時間、空気や熱気のようなものも、記録・保存したい。
そんな思いで、制作しました。
また、中森さんはご自分で『クソ意地』と表現していましたが、集う人たちのためにいつでも文化的な誘いへの"窓"を開けようとしていたなと、そんな思いも持っています。
今日来て下さった方が「まさに異化するようだ」と教えてくれましたが、サイアノタイプの窓を通して、テンポラリーの空間そのものも、改めてじっくり感じてもらえたら嬉しいです。
(とりむしさかな 秋元さなえ)